放送大学をやってる労務者の日記

放送大学の科目履修生からはじめてついに全科履修生になった労務者の記録です

奈良時代の下級公務員の暮らしがきつい

集英社版日本の歴史第4巻『天平の時代』には国立の写経機関とされる写経所の職員である経師の仕事と生活の様子が解説してあり、とても興味深かった。

まず経師は職場である写経所に住み込みで、自由に家にも帰れない。一日「十数時間」勤務して、休みは二、三ヶ月おきに二、三日らしい。
食事は給食で、白米に汁物、海藻や野菜のおかず、漬物、塩などの調味料。栄養は全然足りず、衛生状態が悪いので職員は病気になりまくっていたらしい。「経師たちの病気でもっとも多いのは、赤痢、下痢などの消化器系統の病気であった」。
服は浄衣とよばれる作業着が支給されるらしい。正倉院にもじつはその浄衣が保存されており、同書に写真が載っているのだが、汚い!と声を上げてしまうくらいに汚い。これのどこが「浄衣」なのかと思う。
そんなきつい仕事をして経師はどれだけ給料がもらえたのかというと、結局借金に苦しんで、給料の前借りをしたり土地を担保に出していたらしい。
まったく報われない話であって、こういう人生にどういう希望があったのだろうかと思ってしまうが、これが当時の庶民の普通の暮らしだったのだろうか。